池下助教らの論文が国際学術誌 Responsive Materials誌のFront coverに選出されました
2024-09-02ホットニュース
本学科 池下助教、今井喜胤教授(近畿大学)ならびに直田健教授(大阪大学)らの共同研究成果がResponsive Materials誌に掲載され、Front coverに選出されました。
研究概要
様々な刺激に応答する発光性化合物は、ディスプレイ材料や光暗号通信等を始めとした幅広い分野への応用が期待されています。特に“こする”、“引っ張る”、“押しつぶす”などといった機械的刺激に応答する材料に近年大きな注目が集まっており、次世代のソフトマテリアルとして世界中でその開発が進められています。超音波は眼鏡レンズの洗浄やプラスチックなどの加工、塗料の分散・乳化など我々の身近なモノに利用されている機械的刺激の一つですが、分子化学的な観点においては単純に分子の結合を破壊するためのツールとして用いられてきました。一方、著者らの研究グループでは、洗濯バサミ状の分子構造を有する金属錯体が、超音波に反応してバドミントンのシャトルコックのように噛み合った集合を引き起こし、安定なゼリー状のゲルを形成することを見出しています。
本論文では、上述した洗濯バサミ型錯体の構造を改変した錯体を新たに設計・合成し、それらの超音波に対する挙動と発光特性について検討しました。その結果、赤・黄・緑の色彩豊かな発光を示す超音波ゲルの形成が確認され、さらに形成されたゲルがらせん状に回転する光である円偏光発光(CPL: Circularly Polarized Luminescence)を発していることが判明しました。今回の研究は超音波刺激によるCPLの瞬時制御の世界初の例となり、今後の刺激応答性材料の開発向けて重要な知見を提供するものであります。将来的には、この原理を活用した生体イメージングやセンサー材料などの開発に寄与すると考えられます。
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(リンク先:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/rpm.20240017)